「こんっの、馬鹿がぁーッ!」
「あいったー!!!」








優柔不断なキミ









ちゃん、何も殴らなくても…」
さっきまで雷蔵の手当てをしていた伊作がおずおずと口を出す。
雷蔵は頭の上のたんこぶを左手でさすっていた。
右腕のかすかに血のにじんだ包帯が痛々しい。
「バカッ!ほんっとーに!あんた馬鹿!!」
拳を握ったまま、雷蔵の前に立ちはだかり、怒鳴り散らす
雷蔵は、先日学園長からある城に書状を届けるように命じられた。
しかし、その任務の途中に敵に出会ってしまった。
そんなとき、忍びならばまず逃げるべきであったが、相手の気配からして
逃げ切れる自信がなかった。そして刀を交える事になってしまった。
帰ってきた雷蔵には、右腕に大きな切り傷ができていた。
それを人づてに聞いたは、先ほど急いで保健室にやってきたのだ。
「なんっで、こんな無理してんのよ!」
「相手が、多分、奥さんか誰かの名前だと思うんだけど、それを呼んだとき、
つい、戸惑っちゃって…」
「なんで戸惑うのよ!右腕だったから良かったけど、もしやられてたのが
心の臓だったりしたらどうするつもりだったの!だからあんたは優柔不断って言われるのよ!」
「うん、そうだよね、ごめん…」
唾を飛ばさんばかりに怒鳴り散らす と対照的に、雷蔵は子犬のようにしゅんとしてしまった。
「はいはい、そこまで。雷蔵君の手当ては終わったから、痴話喧嘩は外でやってね」
「善法寺先輩!痴話喧嘩じゃありません!」
「じゃ夫婦喧嘩だ。どっちでもいいから、保健室では騒・が・な・い!!」
ぴしゃん!と二人は保健室から閉め出された。
「………」
仕方なく、二人は長屋の方に戻ることにした。
「雷蔵の馬鹿、どじ、間抜け」
「そこまで言う?」
「言うよッ!もし雷蔵が死んでたらあたしどうしたらいいのよっ!」
は言った後になって、口に手を当てた。
雷蔵は、一瞬あっけにとられて呆然とした。
二人は真っ赤になってうつむいた。
暫しの沈黙の後、
「僕は優柔不断だけどさ」
と雷蔵が口を開いた。
「君の為の事なら、絶対に迷わない」
雷蔵は照れて恥かしそうに笑った。
「君が、死ぬなっていうんなら、どんな事をしても生きるよ?」
が顔を上げると、今度はいつものを安心させる笑みを浮かべた。
もそれにつられて、顔をほころばせた。
「…ほんとに?」
「ほんとだよ」
「…ほんとに?」
「ほんとだって」
二人は顔を見合わせて、声を立てて笑い始めた。




















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