俺は馬鹿か。
THE DAYS16-街路
二人で街に行く、ということは、当然のことながらふたりきりなわけで。
気まずい雰囲気の二人だと、当然気まずい雰囲気をひきずり続けちまうわけで。
んでもって誘ったのは俺(というか坂本と今川だけど)だから、当然話しかけるべきなのは俺で。
そんなことを思い出したのは、当日、町に向かいはじめてからだったのでした。
最初は休みの間のことを、お互いに報告したりしていたのだが、
休みが明けて会ったときに、すでにあらかた話し終えていたので、その話題もそう長くは続かなかった。
「…あー、いい天気だなぁ…」
「…曇りだよ?」
「…あー、そうかもな…」
そんな感じで街に辿り着くまで、ほとんどダンマリ状態だった。
だけど歩いてさえおけば、街に近付くものだ。
近付くにつれて、野菜や果物を積んだ荷車や、行商人などの姿が増え始めた。
その溢れる活気の中を、駆け回る子供たち、夫婦もの、親子…。
人で溢れ返った市の賑わいの中を、カラカラ下駄を鳴らしながら二人で歩く。
「、なにか買う物あるか?」
「ううん、別に…あ、ううん!あの…飴が欲しい!」
「飴?」
「うん、そうそう」
「じゃ、いくか」
「あ、うん…あ、こっちこっち」
「おう…あ、!」
ぐいとの手を掴んで引っ張る。
いきなりだったので、は驚いて体制を崩す。
そこを荷車が一台、すごい速さで駆けて行った。
「大丈夫か?危なかったぞ」
「はー…うん、ありがと」
「怪我は無いな。じゃ、行くか」
に怪我は無いかを確認してから、三郎は元の道に戻った。
「あ」
「え」
のふとした声に、三郎は振り向く。
「あ」
そして、自分がの手を取ったままだったことに気付いた。
「あ…すまん」
今までにも何度かあったことだったが、何故だか途端に気恥ずかしくなって手を解こうとした。
すると、がきゅ、とそれを引き止めた。
「別にいいよ?」
は俺の顔を見て、はにかみがちに笑った。
それを見て、俺は(柄でもないけど)、花みたいだ、と思った。
自分で考えて、自分で照れて、ついぶっきらぼうに「行くぞ」と言ってしまった。
でも心はさっきよりも軽くなっていた。
「ん〜、迷うなぁ…」
「ていうか十個も買えば十分じゃないか?」
「いーや!あともうちょっと!あの青いのは絶対欲しいし、こっちの鞠形のも捨てがたいし…」
「…太るぞ」
「あはは!別にいいもーん」
そのあとの俺たちは、さっきまでの気まずさが嘘のように遊びまわった。
前と同じように、気軽に冗談を飛ばしたり、笑いあったりして、一日中はしゃぎあったのだった。
だけどそのひはあさからくもっていた。
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