あんたの、いい人って言うのは
廓の新しい女?
それともここのくの一?
年下の?それとも先輩の?
それとも、町の女の子で、可愛い子がいたのかしら。
あたしより、綺麗な?

「鉢屋、今日調子悪いのかな」
「あー、なんか心ここに非ずって感じだったよなあ」
「珍しく物思いにふけってるって感じだったし」
「ああ、のとこに行ってなかったしな、今日」

物陰に座り込んでいたら、そんな風な会話が耳に飛び込んできた。



三郎、、っていうの?
あんたのかわいい子は?
どんな子なのかしら、…って子は?



THE DAYS-竜胆





ザバァ…
「………夕方は涼しくなってきたなぁ」
ぐいーっと体を伸ばして、とんとん肩を叩く。
剣道も久々だったから体中痛いや。
「あの」
少し低めの、女性の声だった。
振り向くと、高そうな着物に身を包んだ、美しい女が立っていた。
「なんですか…?」
女はにこりと微笑んだ。
「はじめまして、さん、かしら?」
「そうですけど」
ふいに、心に小さな闇がよぎった気がした。
何故だろう。
なんだか、いやな感じがする…。
「三郎とは、もう寝たの?」
「はぁ?!」
突然、何を言い出すのだろうか、この人は。
初対面で。しかも三郎の名前を知っている。
不信感が顔に出たらしい。
見知らぬ女は、また柔らかく微笑んで、
「あら、ごめんなさい。まだ名前を言ってなかったわよね」
真っ赤な紅を塗った唇は、異様なほど美しくうごいた。
「竜胆よ。遊女。三郎の御贔屓だったのよ」
ざあ、と風が木々を揺らして駆けていった。
それに遅れて、雲が流れ、地面を熱く照らしていた太陽を隠した。
竜胆の顔には、未だ笑みが残ったままだった。
「そうなんですか」
は極めて普通に返事をする。
「驚かないのね」
「はい、あんまり」
付き合う前の、三郎の女性関係は、いろいろな人からよく聞かされていた。
だから、こんな風に、綺麗な人と関係があったってちっともおかしくはない。
そして、三郎は今ではもう郭に通っていない事は周知の事実である。
だから、嫉妬とも、やきもちとも違うのだ。
この感情は。
ならば…、この感情は?
嫉妬でもない。やきもちでもない。
それらとは違うと言い切れる。
それらではないとしたら、この感情は何だっていうのか。
心臓が脈打つ。
心が乱される。
黒い獣のようなものが体中をむちゃくちゃに掻き乱すような不快感。
頭が痛い。
呼吸が苦しい。
体が冷たい。
眼が乾く。
耳鳴りがする。
気持ち悪い。
私は、この人と似た人を知っている。
張り付いた笑顔。
艶かしい仕草。
真っ赤な、唇。

真っ赤な。






































まっかな。

























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