俺は馬鹿でした。
俺は貪欲でした。
俺は子供でした。
俺は愛に飢えていました。
THE DAYS22-渇愛
子供の頃の話です。
母親は俺の存在に気付かない振りばかりでした。
可愛げのないガキだったから、きっと疎ましかったのでしょう。
胸に抱かれた記憶も、頭を撫でられた記憶もありません。
祖父が居ました。
毎日毎日殴られて、忍とはなにかを叩き込まれました。
厳しさが愛情になるといえば聞こえはいいけれど、
祖父は「修行」とかこつけて、俺をうまく消してしまいたかったのかもしれません。
父は、金だけはいくらでもくれました。
「これをやるからどこか行け」と、銀子を一枚投げます。
俺は黙ってそれを拾い、床下に隠した壷に入れていきました。
使い道を知らなかったから、銀子は減る事はなく、ついに壷いっぱいになりました。
それを元通り戻して、庭に一人座り込み「三郎」と自分の名前を呼びました。
そうしないと、誰もよんでくれないその名前を、忘れてしまいそうでした。
九歳の春、忍術学園から誘いが来た。
祖父はとっくに亡くなっていたが、皮肉な事に忍術は俺の体にしっかりと染み付いていた。
自然、「俺、ここに入学するから」という言葉になった。
父が金子を積んで、「これでいいな」と言った。
その金子と、今まで貯めた銀子を一緒くたに袋に入れて、俺は家を飛び出した。
それっきり、実家には戻ってない。
あのときの父の言葉は、きっと、そういうことだと思ったから。
学園に入って、雷蔵とか、他の奴らとかと知り合って、つるみだして、
俺の中で少しずつ、何か変わっていった。
ちょっと、人間ってものを見直した。
友人というものに感謝した。
けど、俺の心はそれだけじゃ満たされなかった。
一旦人の温もりを知ったからかもしれないけど。
もっともっと深い、愛情が欲しかった。
欲して、女を買いあさった。
でも手に入るのは、一瞬の快楽と、情交の残り香だけだった。
俺を愛して。
ひたすらに求めて、そして現れたのがだった。
最初、俺は悪態をついた。
けどは困りながらも優しかった。
レンアイしてみるかって、告白の言葉は、あれ。
それで、は、してみようか、って俺の手に触れた。
素顔を出したけど、すぐに抱き締めた。
見えないよ、といいながらも、俺の背に手を回してくれた。
「三郎」「三郎」と、笑って、何度も呼びかけてくれた。
俺の欲しかったもの全部くれて、だから俺は貪欲になった。
が求めてるものは気にもかけず、
俺は子供のように、ただ欲しがった。
俺を愛して。
俺を愛して。
俺を愛して。
…おれを、あいして。
…ひとつ、気付いた事がある。
が俺を愛してくれない、と俺は傷ついた。
兄の幻影を求めて。
俺じゃない奴ばっか求めて。
けど、俺だって似たようなもんだった。
これまで俺を愛してくれなかった人達を、
俺は、に重ねていた。
に愛されることで、その人達にも愛されてる気分になってた。
…でも、もうそんなことしない。
…は俺の父でも母でも祖父でもない。
…は、だ。
…ほんと、こんな馬鹿でごめん。
気付くのが遅くてごめん。
愛してる気になっててごめん。
何も分かってなくてごめん。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
…いくら謝っても、足りません。
もう俺のこと許してくれなくても構いません。
だからゆるしてください。
俺の気の済むまで謝ることを。
俺のこと嫌いになっても構いません。
俺のこと愛してくれなくて構いません。
だからもう一度、お前を愛させてください。
精一杯、お前を愛します。
俺がお前にやれるもんなら、全部やります。
だから俺に、
君を救う力を下さい。
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